仕事とデジタル
静岡県庁で働き出して、三十数年が過ぎました。
新規採用職員として最初に配属されたのは、現在の工業技術研究所でした。
総務課に席を置き、研究所にあふれかえる計測機器を、備品管理することが担当業務のひとつでした。
当時1万点余に及ぶ備品が、いわゆる“図書カード”で管理されていましたが、機器の名称はあるけれど、その機器がどれなのか、どこに設置されているのか、全く分からず四苦八苦。備品の監査が間近に迫ると、数週間も毎晩残業といった状況でした。
見かねた電子技術の研究員さんが、「パソコンを活用してはどうか。」と声をかけてくれました。その手ほどきをうけて、カード型データベースを覚え、1万点ほどを半年かかって一人で入力。苦労しましたが、管理が飛躍的に楽になりました。監査や会計検査の様式作成も苦も無くできるようになり、先輩職員から絶賛されました。
褒められて伸びるタイプの自分は、味をしめて、既存の管理業務をデジタル化したいと、ベーシックやプログラミング言語も独学で学び、気がつけばそこそこの仕事スキルになっていました。
「デジタルはどうも苦手」という方も多いのですが、考えようです。
公務に限らず、社会の全ての仕事は、人とコミュニケーションをとって調整する、という要素からなっています。しかし、調整の結果は、必ずしも自分の思いどおりにならない。それに比べれば、デジタルでの作業は、楽なものです。自分さえ正確な知識を身につければ、自分の思いどおりの、しかも品質の高い成果が得られます。
自分のキャリアを振り返ってみると、情報政策セクションには一度も配属されたことがなく、今回が初めてです。しかし、この間のどんな業務でも、データ管理・活用、プレゼンテーション、調査・検査、そしてコロナ禍でのリモートワーク等々、デジタルスキルが自分の仕事を助けてくれました。
最近は、生成AIの飛躍的な進歩が毎日伝えられるようになりました。
リスクもたくさん伝えられていますし、発展途上の段階では十分な注意が必要だと思います。しかし、安全性確保は着実に進んでくるでしょう。
私たちの使命は、地域福祉の向上を目指して、最少の経費で最大の効果を上げていくことです。最新の技術を、どう使いこなしていくか。どのように社会の発展に貢献できるように使っていくのか。そういう姿勢をもって、デジタル化の取組を進めていきたいと考えています。
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