発生動向総覧
発生動向総覧
インフルエンザの警報レベルは終息しましたが、流行が続いています(定点当たり患者数は1.42)
インフルエンザは、第5週(1/27~2/2)に定点当たり患者数が6.86となり、警報レベルの終息基準である10を下回りました。第13週(3/24~3/30)定点当たり患者数は1.42です。しかしながら、依然として1以上の流行レベルが続いており、定点医療機関からのコメントでは、B型インフルエンザ陽性件数の方がA型より多くなっています。もうしばらく、県民の皆様には、咳エチケットや換気、手洗いといった感染拡大防止対策をお願いします。※インフルエンザの定点当たり患者数とは、県内139の内科・小児科定点医療機関から報告された1週間の患者数を施設数139で割った数値です。※流行開始の目安とされている定点当たり患者数は1、注意報レベルは10、警報レベルの開始は30、警報レベルの終息は10です。
新型コロナウイルス感染症はゆっくりと下がっています
第第13週(3/24~3/30)の定点当たり患者数は3.61となっており、第3週以降、定点当たり8人台から3人台へゆっくり下がってきました。しかし、県内の新型コロナウイルスは、今年2月以降、流行している株がKP.3系統からXEC系統に徐々に入れ替わってきています。重症者が増えるという情報はありませんが、去年の秋以降KP.3系統にかかった人が、再度XEC系統にかかる可能性はあります。
県民の皆様には、引き続き、咳エチケットや換気、手洗いといった感染拡大防止対策に努めていただくとともに、高齢者でこの秋冬に未接種の方はワクチン接種を検討していただくようお願いします。RSウイルス感染症が流行入りしました(定点当たり患者数は0.74)
RSウイルス感染症の定点医療機関当たり1週間の報告数が、第10週において1.07人と1を超えましたので、県は流行期に入ったと判断しました(RSウイルス感染症には、国が定める注意報や警報の基準値はありませんが、静岡県では0.5で「流行が始まる可能性あり」、1以上で「流行期に入っている」と考えています。)
静岡県内のRSウイルス感染症の定点医療機関当たり1週間の報告数は、第5週(1月27日~2月2日)に0.64で、0.5を超え、その後も0.5~0.8台を推移していました。県内の患者の年齢は、第10週では約70%が2歳以下です。過去には、いったん1以上となると、11~18週間1以上の流行が続いています。なお、昨年2024年に1以上だった期間は、第16週(4月15日~21日)から第32週(8月5日~11日)までの17週間でした。
RSウイルス感染症は、飛沫感染(咳、くしゃみの飛び散り)や接触感染(鼻水や痰、だ液等を触る)でうつります。うつってから発症するまでの潜伏期間は約5日、人にうつす感染期間は発症後約1週間です。
症状は、発熱、咳、鼻水、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーの呼吸)です。年長児や成人では、軽いかぜ症状ですむ場合も多いですがが、乳児早期(特に2か月以下の赤ちゃん)に感染した場合は、急性細気管支炎や肺炎となり、哺乳低下や呼吸困難で入院したり、さらには人工呼吸管理を要したりすることもあります(感染した乳幼児の約30人に1人は入院するという報告もあります)。
RSウイルス感染症専用の有効な治療法はなく、水分補給の点滴や酸素投与などの対症療法のみです。赤ちゃんがいる家庭では、かぜ症状のある方から赤ちゃんにうつさないようにマスク着用や手洗いを励行してください。赤ちゃんが、咳鼻水やぜーぜーで、ミルクの飲む量が減ってきたら、早めに小児科医院を受診しましょう。マイコプラズマ肺炎が流行しています
マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマによる細菌感染症です。感染経路は、主に飛沫感染と接触感染で、家族内や学校など濃厚接触が多い場所で、しばしば集団発生が起こります。潜伏期間は2~3週間程度で、主な症状は発熱、全身倦怠感、頭痛、咳などで、解熱後も咳が長く続くことがあります。必ずしも肺炎にならず、上気道炎や気管支炎も多いです。全年齢層に感染が見られますが、若年齢層に多く、14歳以下が6~8割を占めます。過去の疫学調査研究では、3~7年程度に1回国内で大きな流行が起こっています。
2024年第29週(7/15~7/21)以降、定点当たり患者数※0.5以上が続き、第35週(8/26~9/1)は1.1となりました。(第13週(3/24~3/30)国は基準値を定めていませんが、県感染症情報センターでは、0.5以上が継続した場合、流行が始まる可能性あり、1以上では確実に流行していると考えています。(県内の定点当たり患者数が1以上となったのは、2019年第51週(12/16~12/22)以来です。)今年2025年に入ってからは、第3週(1月13日~19日)に1.5まで上昇しましたが、その後は0~0.7(平均0.3)で推移しています。
マイコプラズマ肺炎の過去の流行では、1,2年間にわたって患者数が多い期間が続いていますので、県民の皆様には、引き続き、人混みでのマスク着用、咳エチケット、適切な換気と手洗いなど、飛沫・接触感染の対策に御協力をお願いします。
今後流行が懸念される感染症
百日咳
第6週(2/3~)以降、1週間に1~2人の百日咳患者が県内医療機関から報告されることが多くなっています。コンコンという咳が連発してよる眠りにくい場合には、マスク可能な方は着用して、早めに受診しましょう
なお、生後6か月以下の赤ちゃんが百日咳にかかると呼吸がしにくくなるなど重症になる場合がありますので、2か月になったらすぐに5種混合ワクチン(百日咳ワクチンを含んでいます)を接種しましょう。また、咳のひどい人は赤ちゃんの世話を避けることも大切です。
伝染性紅斑
伝染性紅斑が、第3週(1月13日~19日)の0.51以来、第12週0.56、第13週0.93と0.5を超えることが続いています。
県は、伝染性紅斑が流行間近と判断しています。(伝染性紅斑には、国が定める注意報や警報の基準値はありませんが、静岡県では0.5で「流行が始まる可能性あり」、1以上で「流行期に入っている」と考えています。)
直近の県内では、伝染性紅斑にかかる人は3~9歳の子どもが主になっています。子どもがかかっても、軽い風邪症状のあと、両頬や腕に淡いピンクの発疹が出ては消えるだけのことがほとんどで心配は要りません。妊婦さんがかかると赤ちゃんがしんどくなることがありますので、妊婦さんで多数の子どもに接する方は、かからないようにマスク着用が望ましいです。家族が伝染性紅斑になった場合、妊婦さんは産科医院に相談してください。
今週のコメント
第13週(3/24~3/30)の感染症発生動向調査では、静岡県内のインフルエンザの定点当たり報告数は1.42人となり、前週の1.68人から減少しました。新型コロナの定点当たり報告数も3.61人となり、前週の3.98人から減少しました。
【インフルエンザ】
全県で罹患数197、定点当たり1.42の患者発生があり、前週の1.68から減少した。定点当たり東部地区で2.34、中部地区で0.45、西部地区で1.3の患者が発生した。
【新型コロナ】
全県で罹患数502、定点当たり3.61の患者発生があり、前週の3.98から減少した。定点当たり東部地区で4.9、中部地区で3.1、西部地区で2.7の患者が発生した。
【感染性胃腸炎】
全県で罹患数560、定点当たり6.29の患者発生があり、前週の6.93から減少した。定点当たり東部地区で5.5、中部地区で7.52、西部地区で6.03の患者が発生した。
【A群溶血性レンサ球菌咽頭炎】
全県で罹患数62、定点当たり0.7の患者発生があり、前週と変わらなかった。定点当たり東部地区で0.91、中部地区で0.78、西部地区で0.4の患者が発生した。
【伝染性紅斑】
全県で罹患数83、定点当たり0.93の患者発生があり、前週の0.56から増加した。定点当たり東部地区で0.81、中部地区で1.37、西部地区で0.67の患者が発生した。
【RSウイルス感染症】
全県で罹患数66、定点当たり0.74の患者発生があり、前週の0.9から減少した。定点当たり東部地区で0.5、中部地区で1.22、西部地区で0.57の患者が発生した。
- 麻疹、風疹は患者発生なし。
- 全国のインフルエンザの定点当たりの患者報告数は1.85で前週の1.98から減少した。警報レベルの保健所を有する都道府県は1から0に減少、注意報レベルの保健所を有する都道府県も7から4に減少した。
- 全国の新型コロナの定点当たりの患者報告数は2.92で前週の3.23から減少した。
- 静岡県において第13週に定点当たり患者報告数の多かった疾病は、順に1)感染性胃腸炎 (6.29)、2)新型コロナ (3.61)、3)インフルエンザ(1.42)、4)伝染性紅斑 (0.93)、5)RSウイルス感染症(0.74、6)A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(0.7)であった。
インフルエンザ罹患数推移
県内衛生研究所におけるインフルエンザウイルス検出状況(2024/2025シーズン) (令和6年第36週~)
梅毒の発生状況(静岡県・累計)
・第13週は前年同期比1.0倍であった。
全数届出の感染症
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