あっせん事例(詳細)時間外労働3
ホテルの調理師が残業代の支払いを要求したところ、調理部門の閉鎖を通告されたため、労働組合に加入して団交を行ったが進展せず、あっせんを申請した事例(労働組合と会社の間のトラブル)。
申請者
労働者側
事案の概要
労働者A、B、Cは、ホテル業を営むD社に採用され、調理師として10年以上勤務してきたが、過密労働と、残業代の不支給に不満を持つようになり、労基署に通報を行った結果、是正勧告がなされた。しかし、D社はそれまでの給与は残業代も含むものであったとの主張のもとに、就業規則を改定し、翌月分の給与から、総支給額を維持したまま基本給を引き下げ、残りの部分を固定残業代とした。A、B、Cはこれを不服として、E組合に加入し、団交を行った。これに対しD社は、調理部門を閉鎖し、組合員らには営業職への配転を告げた。E組合はこれに抗議したが、D社は経営権事項として詳細な説明をしなかったため、あっせんを申請した。
労働者側の主張
未払いの残業代を支払うこと。組合員への周知もなく固定残業代を導入するのは、不当な労働条件引き下げである。調理部門の閉鎖について、組合に誠実に説明すること。
使用者側の主張
固定残業代は、昔からの慣行を就業規則として明確化しただけである。調理部門の閉鎖については経営権事項である。組合員には営業職の道を用意している。
結果【解決】
組合員らから、営業職への配転には応じられないとの意向が示されたため、金銭解決の方向で調整を図った。当初E組合は、退職を認めるかわりに、解決金の最低水準として改定前の基本給〇月分の支払いと、残業代の問題については別途労基署に持ち込むことを要求したが、D社側は基本給〇月分で全てを清算することを要求し、調整は難航した。しかし、あっせん員の粘り強い説得により、最終的にはD社が基本給〇月分と、過去1年間の残業代を組合員に支払うことで合意し、協定を締結して事件は終結した。
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