<まちおこし>市民が育てた味でまちおこし みしまコロッケの会
- 所在地
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〒411-8666 三島市大社町1-10
(事務局)三島市役所商工観光課
- 代表者
- 会長 諏訪部 敏之
- 電話
- 055-983-2656
- ファクス
- 055-983-2754
- 設立
- 平成20年7月
- 活動規模
- 認定店972店舗(平成23年12月現在)
- 事業内容
- 地元ブランド野菜三島馬鈴薯を使用した「みしまコロッケ」の普及・促進・団体認定、食育推進、まちづくり推進
行政の呼びかけに市民が応えた
富士山の麓・三島市は、伊豆・箱根への玄関口であり、三嶋大社を擁する歴史ある都市である。まちなかを美しい川が流れ、小さな岸辺から降りてせせらぎを直接楽しめるこのまちには多くの観光客が訪れるが、まち歩きで気軽に楽しめる食の目玉がないことが惜しまれていた。一方で、箱根連山西南地方の高原では、冷涼な気候と水はけの良い関東ローム層の赤土を生かした野菜栽培が盛んで箱根西麓三島野菜としてブランド化していたが、東京や大都市圏の高級料亭などへの提供が主だったため、地元での知名度や消費が不足している状況であった。三島名物「みしまコロッケ」は、この2つを結びつけるものとして、平成20年、三島市役所の働き掛けによって産声を上げた。働き掛けに応じて、生産者・販売者・製造卸業者・一般市民などの多方面の関係者代表が集まり、みしまコロッケの会が旗揚げされた。同会では、高級食材である三島馬鈴薯と、幅広い年代で皆に愛される庶民の味・コロッケとを組み合わせるというコンセプトを理解してもらうため、まず市民向けの各種イベント・広報・ロゴマークの公募などに取り組んだ。「みしまコロッケ」は、三島の魅力を外に発信するための起爆剤という期待を裏切らず、B-1グランプリに挑戦していきなり入賞するという快挙を挙げた。通常は男爵系のじゃがいもを使うコロッケに、味と食感が抜群であるメークインの三島馬鈴薯を使うことで、誰もが知っているコロッケという食べ物に個性とインパクトを与え、差別化することに成功したのである。
「みしまコロッケ」は地元の名物として市民の間に一気に広がっていった。
コロッケは変幻自在
もともとコロッケは誰からも親しまれる食べ物だ。スーパーマーケットが普及する前から町の肉屋さんでよく買っていたという世代から、部活帰りにコンビニエンスストアでレジ前のコロッケを買い、友だちと食べながら帰るという現役中高生まで、小さくてもアツアツでボリュームがあり、おかずにも軽食にもなるという自由さがある。「みしまコロッケ」が発案された時にはその気軽さこそが選ばれた理由だったのだが、一度「みしまコロッケ」のコンセプトが理解されると、取り扱う食品製造業者・販売業者はこぞってそれぞれの工夫を競い、さらに自由に発展させていった。
平成23年12月現在、「みしまコロッケ」を扱う認定店は972店に及ぶが、調理上の制約は認定された原料(三島馬鈴薯)を使用するという点のみなので、具や形は多種多様である。手に持って食べ歩きできるもの、居酒屋のおつまみ、高級レストランのアラカルトなど食べ飽きることがない。原材料については厳しく規格を維持し、味や提供方法については食品製造業者・販売業者の創意工夫を充分生かせる自由さを保ったことで、「みしまコロッケ」は誕生からの3年間で地元の市民も外からの観光客も、マップや口コミで認定店を食べ歩く楽しみができる地域食材へと急成長し、急発展してきたのである。
名物づくりからまちおこしへ
「みしまコロッケ」は、地域食材としては異例の速度で成長している。全国展開のスーパーマーケット・コンビニエンスストア、惣菜・外食チェーンなどで取り扱いたいというオファーが舞い込み、静岡県外にもサービスエリアや観光地を中心に認定店がある。また、大手旅行会社から「みしまコロッケ」を組み入れたツアー企画が持ち込まれたり、各地で行われるグルメイベントへの出展招待、関連グッズ販売など、多方面での波及効果が現れている。それはまさに、三島の味を知って欲しい、三島の魅力を知って欲しいという当初の狙い通りであった。そして、ついに成功の効果が農業にも還流することになった。「みしまコロッケ」誕生からの約3年で、三島馬鈴薯の「みしまコロッケ」への使用量が7倍近くにもなり、三島馬鈴薯生産量の増加を後押ししているのだ。規格外品利用に役立つどころか、耕作放棄地への再作付け、市民農園での取り組みや食育、農業法人の参入など、農業の下支え的な広がりを見せている。
「みしまコロッケ」の波及効果は、商業・食品製造業・流通・観光・農業と循環しながら拡大している。きっかけが行政の働き掛けであったとしても、それを育てたのは「みしまコロッケ」自体の魅力であり、市民・消費者の支持であった。同会事務局は現在も三島市役所にあるが、活動の主体は多様な顔ぶれのみしまコロッケの会である。今は「みしまコロッケ」成長の機運を逃さず活動したいという思いが強く、「みしまコロッケ」を愛する市民から次々と応援アイディアや提案が寄せられている。認定申請や企画の申し込みなど事務量が増えている現状では、行政の主導というよりも、事務的なサポート・各機関との連携協力という意味で、行政との協働体制を築いている。一つの食材をきっかけにまちおこしという壮大な事業に取り組む時、ビジネスとしてどんな形態を取るかが問題なのではなく、市民・事業者・行政が多重多面に結びついて連携することが最も強い原動力となることが「みしまコロッケ」の取り組みから読み取ることができるだろう。
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