静岡県有機農業栽培指針
静岡県有機農業推進計画に基づき、策定しました。
有機農業では多様な技術が導入されている実態があるなかで、本指針では有機農業推進法の定義に沿った技術を示すとともに、科学的な解説を加えました。
有機農業の定義
1)有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号)第2条における定義
「有機農業」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組替え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。
2)解説
(1)圃場の肥培管理
栽培圃場で生産された農産物の残渣に由来する堆肥の施用又は栽培圃場やその周辺に生息する土壌生物(ミミズ、昆虫、微生物)の機能を活用した物質循環のみによって農地の生産力の維持増進を図ることとする。ただし、これらによる生産力の維持が不可能な場合は有機農産物の日本農林規格(平成12年1月20日農林水産省告示第59号)の別表1*に挙げられた肥料及び土壌改良資材に限り使用することができる。その場合、投入される資材の窒素有効成分量は静岡県の慣行基準以下を目安とする。
別表1*については「有機農業に利用できる基本的技術」の項の「土壌に関すること」を参照。
(2)有害動植物管理(病害虫雑草等の防除)
耕種的防除、物理的防除、生物的防除法のみによって有害動植物の管理を行う。ただし、重大な被害が発生する危険性がある場合は日本農林規格の別表2に挙げられた農薬に限り使用することができる。また、物理的防除法等で使用した資材は、栽培後に回収し、適正に処分する。
別表2に関連する情報はこちら
(3)種苗や資材
種子や苗、生産に使用する資材は化学的処理や遺伝子組み換え技術を利用したものでないこと。
(4)対象期間
種子繁殖作物については採種後、栄養繁殖作物については採苗後(穂木、苗や種芋などの切り離し後)からは上記(1)~(3)で認められる資材以外は使用できない。本圃では、多年生作物については最初の収穫の3年以上前から、一年生作物については播種または植付けの2年以上前から(1)~(3)で認められた資材以外は使用できない。ただし、最初の収穫の1年以上前から上記の管理を行っている場合は、有機農業への転換中のほ場と見なすことができる。
(5)その他
有機JAS認定
生産物に「有機農産物」、「オーガニック」等の表示を行うためには、上記(1)~(4)に加え、有機農産物の日本農林規格に基づいた管理を行った上で、農林水産省の登録を受けた認定機関による認定が必要である。
有機JAS関係についてはこちら
安全・安心な農産物の生産
化学肥料や化学農薬以外にも病原性微生物や各種有害物質の混入等のリスクを低減させるため農業生産工程管理(GAP)を可能な限り導入する。
GAPについては次のリンク先をご覧ください。
生鮮野菜の衛生管理指針については、次の添付ファイルをご覧ください。
麦類のかび毒汚染低減のための指針については、次の添付ファイルをご覧ください。
有機農業に利用できる基本的技術
1)土壌に関すること
- 土壌の改良方法の概要
- 有機物による土づくり
- たい肥等有機質資材の利用
- 緑肥植物等の利用
- 有機質肥料の利用
- 有機農産物の日本農林規格で使用が認められている肥料及び土壌改良材(別表2関係)
- 土壌診断に基づく施肥
2)有害動植物(病害虫・雑草)管理に関すること
(1)耕種的防除法
(2)物理的防除法
- 被覆栽培技術
- マルチ栽培技術
- 機械除草技術
- 温湯種子消毒技術(水稲)
- 熱利用土壌消毒技術
- 土壌還元消毒技術
- 光利用技術
(3)生物的防除法
- 生物農薬利用技術
- 対抗植物利用技術
- 除草動物利用技術
- 土着天敵利用技術
(4)その他の防除法
- フェロモン剤利用技術
研究事例
1)水稲関係
- 静岡県内における有機稲作経営の実態把握と栽培管理指標の作成
- 有機農産物に対する顧客価値の推定 一般消費者と日常的購入者との比較
- 効率的な雑草対策で有機稲作経営を改善
- 広域的な植生管理による斑点米カメムシ抑制技術
- 斑点米カメムシ抑制のための草刈り技術
- コオロギによる雑草抑制機能
- レンゲ栽培による土着天敵コモリグモ類の保全
- 微生物製剤(エコホープ)によるイネ病害防除法
2)野菜類関係
- 砂地露地畑における牛ふん堆肥由来窒素の動態
- 全量有機質肥料によるチンゲンサイの栽培
- シロネギ圃場における植生管理による土着天敵活用法
3)茶関係
- 静岡県における茶有機農業者の施肥管理実態
- 有機質肥料茶園の無機化窒素量の推定
- 刈り落とした枝葉の分解と養分動態
- 畜産堆肥を活用した施肥のポイント
- 茶園における畜産堆肥連用の効果
- 山間地におけるチャの有機栽培が病害虫の発生と収量、品質に及ぼす影響
- 交信攪乱剤によるチャのハマキムシ類の防除法
- チャ園に生息する土着天敵類の生物多様性と環境保全の指標生物
4)果樹関係
- カンキツにおける有機物施用による施肥管理
- カンキツにおけるマシン油乳剤の効果的な使用法
- 環境保全型栽培カンキツ園に発生する生物多様性の指標生物
普及事例
1)有機農業の郷づくり推進事業の取組成果
- 伊豆南地域有機農業推進協議会等の活動
- 富士山麓有機農業推進協議会
- 倉平有機農業推進協議会
2)その他の活動成果
- 有機農業普及に向けた県民への啓蒙と就農サポート
- 富士山麓有機農業推進協議会による就農サポートの取組
別冊
有機農産物の日本農林規格で使用が認められている農薬
静岡県農作物病害虫防除基準を参照
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このページに関するお問い合わせ
経済産業部農業局食と農の振興課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2689
ファクス番号:054-273-1123
chiikinou@pref.shizuoka.lg.jp