静岡県のVEへの取り組み(VE導入の背景及び目的)
VE導入の背景及び目的
静岡県が設計VEの導入に至ったポイントは2つあります。
(1)技術職員の技術力向上
1つ目は、技術職員の技術力向上です。本県では、平成15年度に、職員の技術力向上の目的で、全ての土木関係の発注機関に「技術検討委員会」を設置し、委員会形式で設計の再検討を行う取り組みを始めました。委員会では、担当者がコンサルタントと見直した設計内容(適用基準や計算結果等)について説明を行い、その良否を問うものであったため、個人の発表能力や理解度を審査する側面が強く、担当者の説明能力や基準遵守、精度向上といった担当した個人の技術的能力を高めるのには一定の効果がありましたが、その波及効果は小さく、その取組は形骸化していきました。
(2)コスト縮減対策
2つ目は、公共工事のコスト縮減対策です。平成9年度から国をあげてコスト縮減対策の取組が始まりました。その一つとして建設VE(設計VE、入札時VE、契約後VE)手法が導入されました。本県においても建設VEのうち、建設業者が提案する入札時VEと入札後VEの2つについては、平成12年度から導入しましたが、年々提案数は減少傾向を続けコスト縮減対策としての効果は少ないものとなってきました。
一方、設計VEについては、年々取り組む自治体が増加し、コスト縮減効果に加え品質向上効果が高いことがアピールされるようになってきました。
本県では、この2つを背景として、「技術力向上」と「コスト縮減」を目的として、平成18年度に設計VEを導入しました。
また、近年、少子高齢化や自然環境異変、天然資源の枯渇など私たちを取り巻く自然社会状況は刻々と変化しており、建設分野においてもIT化や省力化の推進、地球温暖化抑制、資源の有効活用といった新たな課題に対峙していかなければなりません。
そのため、設計VEを実施する目的も、コスト縮減や技術力向上といった断片的なものではなく、VE本来の『公共事業の価値向上』を目指すものへと転換しています。同様に、コスト縮減対策についてもVE思想のもと価値向上へと転換を図りました。
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