1 制度創設の背景
阪神・淡路大震災の教訓
平成7年に起きた阪神・淡路大震災では8割以上の方が建物の倒壊等による圧死・窒息死等が原因で亡くなりました。震災による死者を減らすためには、「住宅の倒壊、家具の転倒による圧死・窒息死を防ぐこと」が重要となります。切迫性が指摘されている東海地震における住宅の倒壊から一人でも多くの県民の生命を守るため、平成13年度に、木造住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」を立上げました。
制度創設時の状況と課題
昭和56年5月以前に建築された木造住宅は、約60万棟(平成13年度第3次被害想定より)あり、その中には新基準に照らすと耐震性が不十分とされるものが相当数あると考えられます。
県民アンケート調査によると、耐震診断の実施率は約10%に留まるなど、耐震診断、耐震改修が進んでいないのが実状でした。
耐震対策が進まない理由
- 補強に要する費用が高い
- 補強しても地震の被害を避けられないと思う
- 補強のやり方がわからない
- 手間がかかる
- 工事をどこに頼んだらよいかわからない
静岡県住宅耐震改修等促進方策検討委員会
東海地震の切迫性が一層強まってきているのではないかという専門家の指摘なども踏まえ、住宅の倒壊から「生命を守る」ことを基本理念として、既存木造住宅の耐震性の確保を早急に推進するための具体的な促進策を検討するとともに、住宅の倒壊からとりあえず人命を守るための多様な方策等についても検討を行うため、静岡県住宅耐震改修等促進方策検討委員会を設けました。
既存木造住宅の耐震改修等を促進させる20の提案
- 提案1
- 自主防災組織を初め、学校、職場、消防団など様々なチャンネルを活用し、網羅的に耐震診断を実施する。
- 提案2
- 高齢者や寝たきり老人等、災害弱者等の住宅は行政が出前診断を重点的に実施する。
-
提案3
- 防災上重要な地域は、行政が主体で簡易診断を実施する。
-
提案4
- 地元の自主防災役員、民生委員及び町内役員などと連携する。
-
提案5
- わが家の耐震改修等について気軽に安心して相談できるよう、専門家による相談ルートを確立する。
-
提案6
-
市町村は網羅的かつ計画的に耐震措置の必要な住宅を把握して重点的に耐震措置の促進を図るため、リストの作成など、施策を効率的に進めるための工夫を行う。
-
提案7
-
県は、市町村から定期的に報告を受け、進行管理を行う。
-
提案8
-
新たな改修工法、寝室等1室のみの補強工法や防災器具(防災グッズ)などの開発を推進する。
- 提案9
-
安価で簡便な、県民ニーズにあった耐震措置を目指す。
-
提案10
-
ベッド、クローゼットの活用やエアーバッグ(自動車参考)など多様な方法を検討する。
-
提案11
-
耐震措置の開発及び施策の推進のため、専門家を含む全国民の知恵や情報を静岡に結集する仕組みを考える。
-
提案12
-
常時、新たな技術情報などを収集し、普及する方策を進める。
-
提案13
-
経済的な理由からも耐震措置が進まないことから、耐震改修に対する、新たな助成制度の創設や融資制度を検討する。
-
提案14
-
地方のみの制度でなく、国の制度としても考えるべきである。
-
提案15
-
耐震性の低い住宅の建て替え促進策を推進する。
-
提案16
-
高齢者等で所得が低いなどの理由から補強や建て替えが進まないない人のため、住み替え対策などの新たな対策を推進する。
-
提案17
-
耐震診断結果の情報を活用し、福祉部局と連携し一人暮らしの高齢者等災害弱者に対する安全対策を実施する。
-
提案18
-
耐震診断、耐震改修の必要性、耐震改修等への助成制度や、耐震措置の情報について、これまで以上に統一的戦略的なPRを実施する。
-
提案19
-
改修工法や、耐震ベッドなどの耐震措置の現物の展示を行うなど、効果的PRに努める。
-
提案20
-
東海地震の切迫性を考慮し、実行可能なものから逐次実施する。
このページに関するお問い合わせ
くらし・環境部建築住宅局建築安全推進課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3320
ファクス番号:054-221-3567
kenchikuanzen@pref.shizuoka.lg.jp