リニア中央新幹線静岡工区/県民だより2023年9月号
南アルプストンネル工事の発生土置き場
静岡工区のトンネル工事(本坑、先進坑、斜坑、導水路トンネル、工事用トンネル)では、約370万立方メートルものトンネル掘削土が発生します。これは東京ドーム約3杯分に相当する量であり、JR東海は、この大量のトンネル掘削土を、大井川の川沿いに永久に存置する計画を示しています。
JR東海の計画では、通常のトンネル掘削土約360万立方メートルは、燕沢(つばくろさわ)付近の約18ヘクタールの土地に、約70メートルの高さに盛土することとなっています。
一方、基準値を超える自然由来の重金属等を含む「要対策土」と言われるトンネル掘削土約10万立方メートルは、藤島沢付近に二重遮水シートで覆って盛土する計画です。
▲2023.8.3 第15回地質構造・水資源部会専門部会 資料3-2 図2
ツバクロ発生土置き場
約360万立方メートルの盛土が計画されているツバクロ発生土置き場が立地する燕沢付近を含む南アルプスは、国土交通省河川局砂防部及び独立行政法人土木研究所が、全国の深層崩壊の発生頻度を推定した「深層崩壊推定頻度マップ」において、深層崩壊が発生する頻度が「特に高い地域」に分類されています。
令和5年8月3日に開催された「静岡県中央新幹線環境保全連絡会議 第15回地質構造・水資源部会専門部会」において、委員からは、「南アルプスの崩れやすい地質構造を踏まえた上で、広域的な評価を行い、適地であるか確認することが重要である」といった意見がありました。
▲2023.8.3 第15回地質構造・水資源部会専門部会 資料2
▲2023.8.3 第15回地質構造・水資源部会専門部会 資料2
▲2023.8.3 第15回地質構造・水資源部会専門部会 資料2
藤島発生土置き場
現在のJR東海の計画は、基準値を超える自然由来の重金属等を含む「要対策土」と言われるトンネル掘削土を二重遮水シートで覆って盛土し、永久に存置するというものです。
令和4年7月1日に施行された「静岡県盛土等の規制に関する条例」では、要対策土の盛土は原則禁止されています。現在のJR東海の計画では条例に適合しないため、計画の見直しが必要ですが、これまでのところJR東海から新たな計画は示されていません。
静岡県盛土等の規制に関する条例 ~令和4年7月1日施行~
熱海市伊豆山地区の土石流災害を受け、二度と同様の災害を発生させないために、令和4年7月1日に「静岡県盛土等の規制に関する条例」が施行されました。
◎土砂基準に適合しない土砂等による盛土等の禁止
◎ 面積1,000㎡以上又は、土量が1,000㎥以上の盛土を行う場合は、許可が必要
〇汚染された土砂等の盛土等の禁止(条例第8条)
盛土等の許可の要否に関わらず、何人も規則で定める土砂基準に適合しない土砂等を使用して、盛土等を行うことができない。
〇適用除外
- 廃棄物処理法の許可を受けた最終処分場で行う盛土等
- 土壌汚染対策法の許可を受けた汚染土壌処理施設で行う盛土等
- 生活環境の保全上の支障を防止するための措置として知事が適当と認めるものを講じた上で行う盛土等
- 欠格用件(破産者、暴力団員など)
- 災害を防止するための必要措置
- 水質調査を行うために必要な措置
- 申請者の資力
- 土砂等の形状等が構造基準に適合
- 生活環境の保全上必要な措置など
発生土置き場の問題については、今後も引き続き県専門部会で対話を継続していきます。
詳細は、「リニア中央新幹線建設工事に伴う環境への影響に関する対応」へ
→リニア中央新幹線整備工事に伴う環境への影響に関する対応
WEB県民だよりでは、リニア中央新幹線整備に関する県の対応などを連載でお伝えします。
県民の皆さまからの質問にお答えします
トンネル工事により発生する大量の掘削土の処理には、どのような課題があるのですか。
静岡工区のトンネル工事により発生する掘削土は、約370万立方メートルです。これは東京ドーム約3杯分に相当します。
JR東海は、このうち約360万立方メートルを大井川上流の「ツバクロ発生土置き場」に、基準値を超える自然由来の重金属などを含む約10万立方メートルを「藤島発生土置き場」に盛土すると説明しています。
JR東海の計画が、地質がもろく崩れやすいという南アルプスの特殊性を踏まえたものか、県条例や基準にのっとった適正なものかなどの課題について、県はJR東海と対話を継続しています。
問い合わせ/県環境局 TEL/054(221)2421 FAX/054(221)2940
このページに関するお問い合わせ
知事直轄組織知事戦略局広聴広報課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-2231
ファクス番号:054-254-4032
PR@pref.shizuoka.lg.jp