裁決関係手続

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ページID1033304  更新日 2023年1月11日

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裁決申請及び明渡裁決の申立て

収用又は使用の裁決の申請には、土地の所有権などを取得するための「裁決申請」と、建物などの物件を撤去して土地の明渡しを受けるための「明渡裁決の申立て」の二つがあります。

明渡裁決の申立ては、裁決申請と同時に、あるいは裁決申請の後に行われます。そして、この申請と申立ては、ほぼ同様の手続を経て裁決されます。なお、収用も使用も手続はほぼ同じですから、以下では土地の収用について説明します。

土地調書・物件調書

起業者は、裁決申請をするに当たっては土地調書を、明渡裁決の申立てに当たっては物件調書を作成する必要があります。

これらの調書には、起業者、土地所有者及び関係人の署名押印が必要ですが、土地所有者及び関係人は、その記載事項について異議があるときは、異議の内容を付記して署名押印することができます。

そして、異議を付記した事項については、収用委員会の審理において、その真否を争うことができますが、異議を付記しなかった事項については記載の内容が真実でない旨を立証してから異議を述べる必要があります。

起業者は、これらの書類を添付して裁決申請及び明渡裁決の申立てを行います。

土地所有者及び関係人の権利

  1. 裁決申請の請求
    事業認定の告示後、土地所有者又は土地に関して借地権などの権利を有する関係人(抵当権者などは除く。)は、自己の権利に係る土地について、起業者に対し、裁決申請するように請求することができます。
  2. 補償金の支払い請求
    事業認定の告示後、収用委員会の裁決前であっても、土地所有者又は土地に関して借地権などの権利を有する関係人は、その権利を証する書面を添えて、起業者に対し、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の支払いを請求することができます。補償金の支払請求があったときには、起業者は、支払請求のあった日から2か月以内に起業者の見積りによる補償金を支払わなくてはなりません。ただし、裁決手続開始の登記がされていないときは、その登記がされた日から1週間以内に支払えばよいこととなっています。なお、補償金の支払い請求は、1の「裁決申請の請求」と同時にする必要があります。
  3. 明渡裁決の申立て
    起業者から裁決申請があり、明渡裁決の申立てがなされていない場合は、土地所有者又は関係人から明渡裁決の申立てをすることができます。

裁決申請書、明渡裁決の申立書の受理

裁決申請又は明渡裁決の申立てがあったときには、収用委員会はその申請書又は申立書が法令に適合しているかどうかを審査し、適合している場合は受理します。

市町村における公告・縦覧

収用委員会は、裁決申請書又は明渡裁決申立書を受理したときには、その写しを関係の市町村長に送付するとともに、土地所有者及び関係人に裁決申請又は明渡裁決の申立てがあった旨の通知をします。

市町村長は、裁決申請書又は明渡裁決申立書の写しを受け取ったときには、申請又は申立てがあったことなどを公告し、それらの書類を公告の日から2週間縦覧します。

縦覧期間中における意見書の提出

土地所有者及び関係人は、縦覧期間内に、収用委員会あてに、収用に係る権利者、収用の区域、損失の補償、明渡しの期限などについて、意見書を提出することができます。

ただし、縦覧期間が経過した後に意見書が提出された場合でも、収用委員会が相当の理由があると認めるときは、受理されます。

意見書には、収用に係る権利者、収用の区域、損失の補償、権利取得の時期、明渡しの期限などについて、具体的に記載する必要があります。

なお、意見書の内容は、収用委員会の審理に関する事項に限られますので、事業認定についての不服に関することは記載できません。

損失の補償に関する事項については、審理において新たに意見書を提出したり、口頭で意見を述べることができますが、損失の補償に関する事項以外の事項については、縦覧期間中に提出された意見書に記載された事項を説明する場合に限って、審理において意見書を提出したり、口頭で意見を述べることができます。

意見書の様式は、特に定めはありませんが、意見書には作成の日付、提出者の住所・氏名を記載し、押印が必要です。

裁決手続開始の決定、登記

市町村における裁決申請書及び明渡裁決申立書の写しの2週間の縦覧期間が経過すると、収用委員会は、裁決手続の開始を決定してその旨を都道府県の公報で公告し、申請の土地を管轄する登記所に裁決手続開始の登記を嘱託します。

この登記がされると、相続などを除き、登記後の権利の移動は起業者に対抗できなくなりますので、起業者及び収用委員会は、原則としてこの時点での権利者を当事者として扱います。

収用委員会による審理

収用委員会は、縦覧期間経過後、審理を開始します。審理は、収用委員会が起業者、土地所有者及び関係人から裁決事項についての意見を聴くもので、原則として公開で行います。

起業者、土地所有者及び関係人には、審理の開始に当たり、収用委員会より、あらかじめ審理の日時及び場所を通知します。代理人を出席させる場合は、委任状が必要です。

審理は、収用委員会の会長、又は収用委員会から審理に関する事務について委任を受けた委員(指名委員)が指揮をして、おおむね次のことについて意見を聴き、意見の対立点を整理していきます。

  1. 収用しようとする土地の区域
  2. 損失の補償
  3. 権利取得の時期
  4. 明渡しの期限

審理では、起業者、土地所有者及び関係人は、意見書を提出したり、意見を述べることができます。

また、審理で、起業者、土地所有者及び関係人が述べた意見について、収用委員会から、新たに意見書や資料の提出を求められることもあります。

審理における意見書の提出・意見の陳述

原則として審理が終了するまでの間に、次のような事項について意見書を提出し、又は審理において意見を述べることができます。また、意見の内容を証明する資料などを提出することもできます。

  1. 縦覧期間中に提出した意見書に記載した内容の説明
  2. 損失補償に関する事項
  3. 収用委員会から説明を求められたり、提出を命じられた事項

裁決

収用委員会は、意見書や審理で主張されたことなどについて、必要な調査や検討を行い、裁決をします。

裁決は、裁決申請及び明渡裁決の申立てに対する収用委員会の最終的な判断です。裁決申請に対する応答としての権利取得裁決と、明渡裁決の申立てに対する応答としての明渡裁決があります。

なお、明渡裁決は、権利取得裁決と同時に又は権利取得裁決のあった後に行われます。

権利取得裁決と明渡裁決について
  権利取得裁決 明渡裁決
主な裁決事項
  1. 収用する土地の区域
  2. 土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する損失補償
  3. 権利取得の時期
  1. 土地の明渡しに伴う損失の補償
  2. 明渡しの期限
裁決の効果 起業者は、権利取得の時期までに土地所有者や関係人に補償金を支払うことで、権利取得の時期に土地の完全な所有権を取得し、借地権などの所有権以外の権利は消滅することとなります。 起業者は明渡しの期限までに土地所有者や関係人に補償金を支払わなければなりません。
土地所有者や関係人は明渡しの期限までに土地にある建物などの物件を移転して土地を明け渡さなければなりません。
明渡しがなされないときには、起業者は、都道府県知事に代執行による物件の撤去の請求などをできることとなっています。

和解

和解は、裁決申請後であっても、当事者間の話合いで円満に解決することが望ましいことから設けられた制度です。

  1. 和解には、裁決すべき事項について、起業者、土地所有者及び関係人の全員の合意が必要です。なお、収用委員会は、審理の途中において、いつでも、起業者、土地所有者及び関係人に和解を勧告することができます。
  2. 合意があったときは、当事者の全員から収用委員会に対し、和解調書の作成の申請をします。
  3. 収用委員会は、和解の内容を審査したうえ、和解調書を作成します。
  4. 和解調書が作成されると収用の裁決があったと同様の効果が生じ、この場合当事者は和解の成立・内容について争うことができなくなります。

裁決前に当事者間で合意が成立し任意契約をした場合は、裁決申請を取り下げることもできます

このページに関するお問い合わせ

収用委員会事務局
〒420-8601 静岡市葵区追手町9-6
電話番号:054-221-3323
ファクス番号:054-221-2216
shuyo-i@pref.shizuoka.lg.jp