1 県政の概要

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ページID1066296  更新日 2024年9月19日

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令和6年9月県議会定例会知事提案説明要旨

1 県政の概要

 ただいま提出いたしました議案の概要を御説明申し上げますとともに、当面する県政の課題について、所信並びに諸般の報告を申し述べます。

 はじめに、防災・減災分野についてであります。

 まず、先月26日から今月1日にかけて続いた大雨等による被害への対応についてであります。

 今回の記録的な大雨等により、県内各地で家屋の浸水をはじめ、道路、河川等の公共土木施設や農業施設、火葬場などに被害がもたらされました。被災された皆様に対しまして、衷心よりお見舞いを申し上げます。被災箇所につきましては、災害復旧事業等を最大限活用し、一日も早い復旧に努めるとともに、今月3日に発動した融資制度により、被災された中小企業者や農林漁業者の方々の事業の再開、継続を支援してまいります。

 また、先月29日、台風10号が本県へ接近する可能性が高まったことから、県災害警戒本部をいち早く立ち上げました。私から職員に対して、十分に被害情報等を収集するよう指示するとともに、本県では初めて、災害が発生するおそれがある段階で災害救助法を全市町に適用し、必要な際は躊躇なく避難所を開設して、避難指示を発出するよう、市町に要請いたしました。

 今後も台風や大雨等への備えに万全を期すため、国や市町、防災関係機関との緊密な連携の下、災害対応力の強化に取り組んでまいります。

 次に、南海トラフ地震臨時情報についてであります。

 先月8日、宮崎県沖の日向灘(ひゅうがなだ)を震源とする地震が発生し、気象庁の評価検討会で検討された結果、「巨大地震注意」の臨時情報が初めて発表されました。大規模地震の発生可能性が平常時に比べて高まったことから、私から県民の皆様へ、地震への備えの再確認や、発災後の速やかな避難の準備について呼びかけたところであります。今回は、その後、本県に大きな被害を及ぼす地震は発生しませんでしたが、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は、引き続き高い状態であることに変わりはありません。平時から地震へ備えることが重要であります。今回の臨時情報発表による県民の皆様の行動や意識の変化について、県独自の意識調査の結果等も踏まえつつ、今後も「地震・津波対策アクションプログラム2023」を着実に推進してまいります。

 次に、緊急消防援助隊関東ブロックの合同訓練についてであります。

 11月13日からの2日間、総務省消防庁との共催により、伊豆市など県東部地域の10市7エリアにおいて実施いたします。自衛隊、警察、消防等の関係機関と連携して、土砂災害を想定した救出訓練を行うとともに、能登半島地震において道路の寸断により孤立集落が発生したことを踏まえ、空路による部隊進出訓練を行うなど、緊急消防援助隊の活動能力の向上や、本県の受援体制の強化を図ってまいります。

 こうした訓練を積み重ね、県民の皆様や市町、防災関係機関と連携した地域防災力の更なる強化につなげてまいります。

 次に、孤立集落対策についてであります。

 7月から各市町と連携し、これまでに把握した孤立予想集落について、アクセス道路の危険箇所や迂回路等の確認、通信手段のバックアップ体制等の実態調査を行っております。年内に集落ごとに調査結果をとりまとめ、必要な対策を検討するとともに、調査結果を平時から自衛隊などの応援部隊等と共有することで、災害発生時における円滑・迅速な救出・救助や、生活物資等の支援を行ってまいります。

 次に、伊豆半島の道路強靱化についてであります。

 7月26日、伊豆地域の首長や関係者の皆様とともに、国に「命の道」となる伊豆縦貫自動車道の一日も早い全線開通の要望を行ってまいりました。堂故茂国土交通副大臣に対し、事業推進と未だ事業化されていない区間の早期事業化などをお願いしたところであります。

 今後も、私が先頭に立ち、伊豆縦貫自動車道の整備促進を国に働き掛けていくとともに、アクセス道路の強靱化にも取り組んでまいります。

 次に、昭和55年度に施行された、いわゆる「地震財特法」についてであります。

 これまで8回にわたって延長され、国庫補助率のかさ上げなど財政上の特別措置が図られてまいりましたが、本年度末にその期限が到来いたします。想定される南海トラフ地震などの大規模地震に備え、県民の皆様の生命、財産を守るためには、防災・減災対策を継続的に強化していくことが不可欠であります。

 県議会の皆様のお力添えをいただき、県内市町や地震防災対策強化地域の7都県とも連携し、地震財特法の延長を国に強く働きかけてまいります。

 次に、産業分野についてであります。

 はじめに、スタートアップ先進県に向けた取組についてであります。

 7月25日から27日まで、首都圏等のスタートアップと県内企業とのビジネスマッチング「TECH BEAT Shizuoka」をグランシップで開催しました。国内外から過去最多の139社のスタートアップが出展し、130件の商談が行われたほか、次代を担う学生や子どもにも最先端の技術に触れる機会を提供するため、初めて土曜日にも開催し、過去最多となる7,600人を超える来場者があり、大変大きな反響がありました。

 また、6月から、東京虎ノ門にある日本最大級のスタートアップ拠点「CIC Tokyo」に職員が駐在し、本県の情報発信やスタートアップ誘致に取り組んでおります。さらに11月からは、民間の専門人材2名を任期付職員として採用する予定であり、首都圏スタートアップの誘致や県内企業等とのマッチング支援など、スタートアップの創出に向けた取組を一層強化してまいります。

 加えて、今月2日、和多屋別荘代表取締役の小原嘉元氏を「地域資源活用アドバイザー」として委嘱いたしました。小原氏は、温泉旅館を拠点として、地域資源の本来の価値を引き出し、地域に還元したいという考えのもと、佐賀県嬉野温泉で、インキュベーションセンターを開設し、地域に根ざしたスタートアップの支援や、地域文化の発信などを進めている先駆者であります。今後、小原氏の知見を積極的に活用し、伊豆の温泉などを活用した新たな手法によるスタートアップ誘致に取り組んでまいります。

 こうしたビジネスマッチングの取組や民間の知見・活力を最大限に活用することに加え、来年度に向けて、スタートアップの資金調達のサポートや、地域課題等の解決を図るための取組への支援など、更なる検討を進め、スタートアップ先進県を目指してまいります。

 次に、企業誘致についてであります。

 本県のさらなる産業発展を目指すためには、地域経済への波及効果の高い大規模投資を呼び込む必要があり、その需要に対応した産業用地の整備が大変重要になります。このため、新たに7月に、全庁的な「企業誘致タスクフォース」を設置したところであります。今後、輸送用機械や医薬品など地域の産業特性に応じたゾーニングや、用地の長期的な造成目標などを検討することで、これまでにない形で、計画的な産業用地の創出を目指してまいります。

 また、私自らが先頭に立ち、首都圏でのトップセールスを精力的に実施してまいります。具体的には、来月21日に、ICT・サービス関連企業やベンチャーキャピタル約80社を招いて行うビジネスマッチングセミナーや、来年開催予定の、製造業やスタートアップなどを対象とした企業立地セミナーなど、様々な機会を捉え、直接本県の魅力を積極的に発信してまいります。

 次に、MaOIプロジェクトについてであります。

 7月17日からの2日間、本県海洋産業のポテンシャルの高さを国内外に発信するため、「BLUE ECONOMY EXPO」を清水港において初めて開催いたしました。

 欧米や中東など6ヶ国・地域の有識者など32名が参加した国際会議「海の未来会議」では、笹川平和財団の角南篤理事長による「海洋の課題と解決に向けた取組」と題した基調講演など、ブルーエコノミーが創り出す未来について、国内外の先進的な事例の紹介や議論が行われました。また、海洋スタートアップ12社をはじめ、46社・団体が参加した展示会では、2,500人以上の皆様に御来場いただき、県内企業や投資家等とのマッチングを図ったところであります。

 また、7月に新たに採択された国の地方大学・地域産業創生交付金を活用し、静岡市や県内大学等と連携して、研究開発や事業化の取組を拡大してまいります。

 国内外から海洋スタートアップの誘致等を進め、海洋産業の振興と海洋環境の保全に関する世界的拠点の形成に向けた取組をより一層加速してまいります。

 次に、リノベーションによるまちづくりについてであります。

 人口減少や経営者の高齢化等により空き店舗が増加する中、これらをまちづくりの視点から再生し、エリア全体の価値の向上につなげる取組が重要であります。

 今月11日、県内各地で空き店舗の再生等によりまちづくりに取り組む15団体の「実践者交流会」を浜松市内で開催し、スタートアップを前提としたまちづくりの方策の具体的事例を紹介していただきました。

 今後は、市町や商店街、学生に加え、スタートアップなどが参画するまちづくりの推進体制を構築し、新たな視点を取り入れたリノベーションによるまちづくりの仕組みを広く県内に展開してまいります。

 次に、静岡茶の海外販路拡大についてであります。

 今年の県内一番茶の生産量は前年から増加しましたが、取引価格が過去最安値を記録するなど、厳しい状況が続いております。一方、欧米、東南アジアを中心に海外の需要は伸び続けており、輸出向けの抹茶や有機茶は、高値で取引されております。

 この流れをつかみ、静岡茶の海外販路拡大と、より競争力の高い茶業者の育成を図るため、新たに「静岡茶海外戦略展開支援事業」に取り組んでまいります。茶業関係団体や金融機関等で構成するコンソーシアムが、金融機関の海外ネットワークやJETROの支援を活用して、米国と、EUにおける茶の物流拠点であるドイツでの展示会へ出展する取組を支援することとし、必要な経費を補正予算案に盛り込み、本議会にお諮りしております。

 次に、環境・エネルギー分野についてであります。

 はじめに、リニア中央新幹線建設に伴う大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全についてであります。

 7月23日、大井川中下流域の8市2町の首長の皆様との意見交換会を開催しました。私からは、リニア中央新幹線の必要性は理解し、推進する立場であるものの、大井川の水資源及び南アルプスの自然環境の保全との両立を堅持するという基本姿勢をお伝えしました。首長の皆様からは、県からの更なる情報提供や、国との連携を求める意見が出たことに加え、大井川中下流域の水資源の利用に影響が出た場合の補償等の対応について、JR東海はもとより、国にもしっかりと関与を求めるよう、意見がありました。まずは、主な意見について、先月、国土交通省に伝え、認識を共有したところであり、今後、県としても、流域市町の意見を踏まえた対応を進めてまいります。

 流域市町の皆様との情報共有は大変重要であります。今後、時機を適切に捉え、しっかりと意見交換をしてまいります。

 先月5日の県の生物多様性専門部会では、沢の流量変化、代償措置の基本的な考え方及び順応的管理のシナリオ等について、JR東海と対話いたしました。回避・低減措置を最大限実施することが前提ですが、リニア工事による影響が出た時点で自然環境を元通りに復元することは極めて困難であり、また、検討に時間を要することから、回避・低減措置と並行して、代償措置について検討する必要があります。そこで専門部会から、自然環境への影響の評価には不確実性があること等を踏まえ、リニア工事により損なわれる南アルプスの自然環境と同等以上の代償措置を、事業者の責務として実施することなどの基本的な考え方を提案しました。JR東海は、専門部会から提案された基本的な考え方に合意した上で、次回以降、具体的な代償措置等を提案することとなりました。

 また、今月6日の県の地質構造・水資源専門部会では、トンネル工事に伴う発生土置き場について、対話を行いました。今回、ツバクロ発生土置き場に関して、平成22年にJR東海が直下に断層がある可能性を認識していながら、これまで専門部会に説明してこなかった事実が判明しました。これは県民の皆様の安全・安心に関わるものであり、看過できない問題であります。事前にこの報告があったことから、私から、森副知事に対し、専門部会において、JR東海が、このような事態に至った理由・経緯や再発防止策を説明し、今後安全・安心に関する全ての情報を示すことが明確になるよう、指示しました。専門部会では、JR東海から、県民の皆様へのお詫びと反省、今後の議論に必要な全ての情報を適切に示すことを固く約束する旨の会社としての文書が提出されるとともに、県が求めた事項に対する一定程度理解のできる説明があったことから、対話自体は継続することといたしました。次回以降、ツバクロ発生土置き場直下の断層について、その特性を確認し、影響を予測した上で、立地の妥当性について対話をしてまいります。

 その他の発生土置き場については、まず、専門部会から、生態系全体や景観への影響も考慮し、できる限り回避・低減に努めるべきであるとの基本認識を示したことに対し、JR東海はこれを受け入れ、今後の対策を検討することとなりました。次に、JR東海から、現在計画している発生土置き場について、トンネルからの距離や環境負荷の回避・低減等を考慮した選定理由及び経緯について、説明がありました。専門部会において、候補地として一定の妥当性があると認められることから、これらの候補地を前提として、今後、設計やモニタリング等について対話を進めていくこととなりました。

 こうした対話により、今後の主な対話項目28項目のうち、15項目の対話が進捗し、2項目が対話完了となりました。引き続き、残された課題の解決に向けて、JR東海との対話をしっかりと進めてまいります。

 先月22日、国の第4回モニタリング会議が開催されました。本県とJR東海の対話の状況等が報告されたところ、矢野座長から、「JR東海と静岡県の協議は着実に進んでいる印象を強く受けた」との総括がありました。

 山梨県側から県境に向けた高速長尺先進ボーリングにつきましては、JR東海から今月10日に、県境を越えて静岡県内へ進めることについて、大井川利水関係協議会の意向を確認するよう要請がありました。JR東海のボーリング計画は、5月に開催された県地質構造・水資源専門部会において、科学的・工学的な観点から一定のリスク管理がなされることが確認され、また、岐阜県の地下水位低下の事象を踏まえた追加のリスク対策についても、専門部会で、より一層リスク管理が強化されると技術的に確認をいただきました。こうしたことを踏まえ、協議会に意向を確認した結果、計画で示されたリスク管理を確実に実施することなどを前提に、県境を越えてボーリングを進めることについて了解する旨の報告がありました。これを受け、県としても了解できる旨を今月17日に、本県からJR東海に回答するとともに、計画に示した湧水管理とモニタリングを適切かつ確実に実施することを改めて要請したところであります。

 引き続き、リニア中央新幹線の建設と、大井川水系の水資源及び南アルプスの自然環境の保全の両立を図るため、国と協力してJR東海との対話を進めてまいります。

 次に、再生可能エネルギーの導入拡大についてであります。

 昨年12月の第28回気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP(コップ)28では、2030年までに世界の再生可能エネルギーの発電容量を3倍にする目標が掲げられ、世界各国でGX実現に向けた動きが加速しております。国では、現在、次期エネルギー基本計画の策定に向けて議論を進めており、本県においても、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた方策を速やかに検討する必要があります。

 このため、環境との調和や地域との共生を前提に、発電容量の大きい太陽光や風力、さらに新たなエネルギー源である水素について、導入可能性等を調査することとし、必要な経費を9月補正予算案に計上し、本議会にお諮りしております。

 調査結果をもとに、来年度、県エネルギー総合戦略の見直しを行い、再生可能エネルギーの更なる導入拡大を図ってまいります。

 次に、観光交流分野についてであります。

 はじめに、観光交流の拡大についてであります。

 本年1月から6月までの県内への外国人延べ宿泊客数は、コロナ前の約8割まで回復し、特に、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアからの宿泊者数がコロナ前の2倍に増加しております。

 今後は、夜間を活用して観光を楽しむナイトコンテンツの造成や、スマートフォンをかざすと多言語で観光案内がされるシステムの構築など、特定の分野に強みを持つスタートアップと、県内の市町・DMOとの連携を進め、さらなるインバウンド需要の拡大に取り組んでまいります。具体的には、国内最大級のスタートアップとの協業実績を持つ企業や金融機関を先月、選定したところであります。今後、これらの企業と連携して、インバウンド誘客に向けた市町等の課題ごとに、専門のスタートアップと協業し、課題解決に向けた実証実験を進めてまいります。

 また、先月5日、タイ王国観光・スポーツ省のフォンプーム副大臣など、官民の関係者21名をお招きし、落合愼悟議長をはじめ、県議会議員の皆様も御出席いただいた中、本県の豊富な温泉資源や、「美容大国」タイの多彩なスパ文化など、互いの特徴を活かした交流を進めるため、温泉を活用した経済・観光分野での協力に関する覚書を取り交わしました。

 今後、タイ王国と本県のそれぞれの強みを活かし、温泉を活用した様々な分野の交流を進めてまいります。

 次に、世界遺産富士山の登山者への対応についてであります。

 今月10日に閉山した富士山につきましては、本県側において、昨年と同水準の約8万5千人の登山者が訪れました。今シーズンは、新たに、WEBを活用した事前登録システムを試行し、登山者の7割を超える約6万人の方に御利用いただくなど、夜間登山者数の減少等に一定の成果がありました。

 しかしながら、任意の自粛要請のみでは、夜通しの弾丸登山や軽装登山などのルール・マナー違反が、引き続き散見されたところであります。そのため、登山者の安全確保と快適な登山環境の実現に向け、より強い対策が必要であると判断いたしました。

 このため、来年の夏には、山梨県と足並みを揃え、夜間の入山制限や通行料の徴収等の登山規制を実施することとし、準備作業に着手したところであります。来年2月議会で、本県の実情も踏まえた登山規制条例を制定することを目指し、今後、必要な調査や、国、山梨県、地元関係者との調整を進めてまいります。

 次に、地域交通のリ・デザインについてであります。

 日常生活において公共交通での移動を確保できない地域では、地元住民による共助型交通など、公共ライドシェアの導入が日常の足を確保する有効な対策であります。

 まずは制度や活用事例を周知することが重要であるため、7月30日、29市町や公共交通事業者等12社が参加した上で、説明会を開催しました。さらに、今月11日、県地域公共交通活性化協議会の下に、全市町と国、バス協会及びタクシー協会で構成する専門部会を設置いたしました。今後、公共ライドシェアの県内全域への普及に向けて、全国の先行事例等を情報共有するとともに、地域ニーズに応じ、市町等を積極的に支援してまいります。

 また、今年4月に創設された日本版ライドシェアにつきましても、国の動向を注視しながら、活用を検討するなど、持続可能で地域の実情に応じた最適な交通手段の導入により、地域交通のリ・デザインを進めてまいります。

 次に、富士山静岡空港の国際線についてであります。

 来月からの冬ダイヤにおきまして、チェジュ航空のソウル線が、現行の週7往復に加え、初めて週4往復が増便され、合計で週11往復の運航が決定しました。また、台北線の運航再開に向けてチャイナエアラインと粘り強い交渉を行う中、まずは、年末年始に台北との3往復のチャーター便が運航されることとなりました。来月には、森副知事が台湾を訪問し、航空会社の幹部に対し、定期便の計画的な運航再開を強く働き掛けるなど、国際線の更なる充実に取り組んでまいります。

 次に、子育て・教育分野についてであります。

 はじめに、静岡県こども計画の策定についてであります。

 国の「こども大綱」を踏まえ、結婚から、妊娠・出産、そして幼少期から青年期まで切れ目ない施策を網羅する「(仮称)静岡県こども計画」を今年度、新たに策定いたします。

 計画の策定に当たっては、「こども第一主義」の視点に立ち、子ども・若者の意見にしっかりと耳を傾けてまいります。アンケート調査やワークショップの開催等に加え、場所や時間の制約がなく、匿名で意見を伝えることができる全国でも先進的なオンラインプラットフォーム「こえのもり しずおか」を開設し、幅広く意見の募集を行っております。

 また、これまでにいただいた意見を反映した計画の骨子案を、昨日、県こども・若者施策推進協議会においてお示しし、有識者の皆様から、福祉・教育などの専門的知見に基づき、貴重な御意見をいただいたところであります。

 次代を担う全ての子どもが、健やかに成長し、幸せを感じることが出来る社会の実現を目指し、子ども施策を総合的に推進してまいります。

 次に、新県立中央図書館の整備についてであります。

 令和9年度の完成を目指す新県立中央図書館につきましては、来月、実施設計が完了する予定であります。

 蔵書数を約200万冊とするなど、県民の知のインフラとして図書館機能を充実するほか、低層階には交流スペースや各種ラボを配置し、県民が集い、学びを深める空間づくりを進めてまいります。

 こうした機能を最大限発揮するため、入居を予定しているふじのくに地域・大学コンソーシアムや産業界との連携による探究活動やリカレント教育に取り組むとともに、学生以外にもスタートアップなどのイノベイティブな人材や多様な活動を行う人材などが広く集い、知的創造に向けたコラボレーションを誘発するなど、これまでの図書館の枠を超えて、子どもから大人までが「学び、交流し、創造する」新たな知の発信拠点を目指してまいります。

 今後、本体工事に速やかに着手するため、必要な債務負担行為の設定を補正予算案に盛り込み、本議会にお諮りしております。

 次に、健康福祉分野についてであります。

 はじめに、感染症対策についてであります。

 昨年度策定した県の感染症予防計画に基づき、新たな感染症発生に備えて、平時から医療提供体制を確保するため、病床の確保や発熱外来の実施に関して、医療機関等と県との医療措置協定の締結を今年度進めております。現時点では、流行初期の目標値について、病床数は94%以上を、発熱外来施設数は82%以上を確保しております。また、協定を締結した医療機関等が、感染症にしっかりと対応できるよう、PCR検査装置や簡易ベッドなど必要な資機材の整備を支援することとし、関連する経費を9月補正予算案に計上し、本議会にお諮りしております。

 次に、医療DXの取組についてであります。

 医療分野でのDXを通じたサービスの効率化・質の向上を図るため、国は、電子カルテを含む患者情報の共有基盤となる「全国医療情報プラットフォーム」の構築を推進しております。来年度からのプラットフォームの運用開始に向けて、国は、県内5病院の取組をモデル事業に指定したところであり、県としても国と連携し、医療圏を越えた効果的な情報共有など、取組を促進してまいります。また、薬の重複投与の防止などを図るため、電子処方箋を導入する医療機関等を支援することとし、これらに必要な経費を9月補正予算案に計上し、本議会にお諮りしております。

 国の医療DXの進展にあわせ、県内の体制構築を着実に進めてまいります。

 次に、暮らし・文化分野についてであります。

 はじめに、パリ2024オリンピック・パラリンピック大会についてであります。

 フランスのパリで開かれた両大会では、本県ゆかりの選手が、その実力を存分に発揮し、好成績を挙げ、多くの県民の皆様に、夢と希望と感動を与えてくれました。県では、競技団体を通じて強化活動費の一部を支援しており、今回も多くの選手が、メダルの獲得や入賞を果たしたところであります。

 オリンピックにおきましては、柔道の橋本壮市選手が個人で銅メダル、混合団体で銀メダル、セーリングの岡田奎樹選手が銀メダル、卓球の平野美宇選手が女子団体で銀メダルを獲得しました。

 また、パラリンピックにおきましては、水泳の鈴木孝幸選手が金メダルを含む計4つのメダル、車いすラグビーの若山英史選手と自転車の杉浦佳子選手が金メダル、陸上車いすの佐藤友祈選手が銀メダルと銅メダル、ボッチャの杉村英孝選手が混合チームで銅メダルを獲得しました。

 その栄誉を称え、メダリストや入賞者の皆様に、県民栄誉賞等の表彰を行いたいと考えております。

 オリンピック、パラリンピックを契機として高まったスポーツへの関心が、幅広い世代の県民のスポーツ参加に繋がるよう、県民誰もがスポーツを楽しむことができる環境づくりに取り組んでまいります。

 次に、遠州灘海浜公園篠原地区の整備についてであります。

 7月19日に、県民の皆様から頂戴しましたパブリックコメントの意見などを踏まえた公園基本計画を取りまとめ、公表いたしました。

 公園を含む全体的な利活用の構想については、協議会の設置に先立ち、まずは、公園基本計画をベースとして課題や論点を整理するよう、担当部局に指示したところであります。これを踏まえ、現在、浜松市等と事務レベルで調整を進めております。

 引き続き、県議会や県民の皆様の御意見を伺いながら、遠州灘海浜公園篠原地区が、県西部のスポーツ拠点としてふさわしく、多くの県民の皆様に愛され利用される施設となるよう、浜松市と連携して、丁寧に検討を進めてまいります。