平成23年5月県議会臨時会知事提案説明要旨4
平成23年5月 県議会定例会知事提案説明要旨
【4.5月補正予算案】
次に、5月補正予算案についてであります。
東日本大震災や福島第一原子力発電所事故により、本県におきましても、電力供給の逼迫やサプライチェーンの混乱などが生じ、県内の生産活動や県民生活に重大な影響が出ております。
このため、昭和28年以来、58年ぶりとなる5月補正予算を編成し、東日本大震災及び本年3月の県東部を震源とする地震に対応する経費のうち、緊急に取り組むべき施策について対応することといたしました。また、制度設計等に時間を要する事業につきましては、改めて補正予算を編成してまいりたいと考えております。
以下、5月補正予算の主な取組について4つの柱に沿って御説明いたします。
第1は、被災者支援についてであります。
先程説明いたしました被災地への専門職員等の派遣や応援物資、被災者の受け入れ等に要する経費を計上しております。
第2は、地震対策についてであります。
このたびの福島第一原子力発電所事故や計画停電により、エネルギーの重要性を改めて認識いたしました。
特に、小・中・高等学校の体育館や福祉施設などの避難所における電源確保は、喫緊の課題であり、市町と連携し、自家発電装置等の非常時の電源確保を一層促進してまいります。
さらに、今後はエネルギーの地産地消を一層進めるため、新エネルギー等への転換を強力に進める必要があります。特に、太陽光発電は、一般家庭でも比較的導入しやすい新エネルギーであり、災害時における非常用の電源としての活用も期待されております。
県といたしましては、本年3月に策定した「ふじのくに新エネルギー等導入倍増プラン」に基づき、住宅や事業所への太陽光発電設備の導入を一層加速させるとともに、新エネルギー関連企業の県内誘致や太陽光を活用した研究開発に対する支援等を検討してまいります。
第3は、経済対策についてであります。
去る4月21日に「震災対応緊急本部会議」を開催し、東日本大震災による県内経済や県民生活に及ぼした影響、商工団体等からの要望・意見を踏まえ、経済活動の支援や県民の安全安心の確保を図っていくことといたしました。全国が自粛ムードにある中、静岡県が元気になることが、被災地支援につながることから、全庁を挙げて取り組んでまいります。
地域企業対策につきましては、厳しい経営環境に置かれた中小の地域企業を支援するため、3月22日に、中小企業向け制度融資において「中小企業災害対策資金」を発動し、4月1日からは、経済変動対策貸付に新たに「緊急経済対策枠」を設定いたしました。
このうち「中小企業災害対策資金」につきましては、資金需要が増大していることから、融資枠を100億円拡大し、引き続き、資金需要への万全な対応を図ってまいります。
また、発注企業と下請企業との取引あっせんや個別商談会の開催による受発注機会の拡大に取り組むとともに、被災企業が生産拠点を県内に一時移転する場合の助成制度を設けることにより、企業の円滑な生産活動を支援してまいります。
風評被害・観光誘客対策についてでありますが、震災や県東部地域における計画停電の影響により、伊豆地域をはじめとする県内の観光産業は大きな打撃を受けております。また、富士山静岡空港につきましても、長引く景気の低迷に伴う航空需要の減少に原子力発電所事故の影響が加わり、海外からの渡航者を中心に搭乗者数が大幅に減少するなど、非常に厳しい状況が続いております。
これまで、静岡県観光協会などと協力して、宿泊割引キャンペーンを展開してまいりましたが、さらに、首都圏等からの誘客や風評被害の払拭に向けて、メディア等を活用した本県の現状や魅力の情報発信、空港の利活用拡大キャンペーンなどに取り組んでまいります。
また、農産物等につきましては、風評被害により、諸外国の輸入規制措置が強化され、本県農産物等の輸出が停滞する事態に見舞われております。県といたしましては、シンガポールで基準を超える放射性物質の検出が疑われた本県野菜の安全検査、シンガポール政府や韓国政府の輸入規制措置に対する解除要請、EU向けに輸出される食品等への証明書の発行など、本県農産物等を引き続き安定して輸出できるよう努めてまいりました。シンガポール政府の輸入規制措置については、5月16日に解除されましたが、今後も、風評被害の防止や消費者に対する信頼回復を図るため、国内外への情報提供や広報活動を強化してまいります。
なお、神奈川県産の茶の生葉で、暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されたことを受け、緊急的に県内茶産地18地点について、生葉及び飲用茶の放射性物質検査を実施いたしました。すべての地点で、食品衛生法の規定に基づく暫定規制値及び準用値を下回り、健康への影響を心配するレベルではなく問題がないことを確認したところであります。
第4は、災害復旧についてであり、本年3月の県東部を震源とする地震により被災した社会福祉施設や県立学校等の復旧に要する経費を計上しております。
さらに、このたびの国の補正予算に呼応した経費を計上した結果、一般会計補正予算の規模は、23億5,900万円で、これを加えました本年度予算の累計額は、1兆1,347億5,900万円となります。また、債務負担行為は制度融資に関する補正であります。これらの経費を賄う財源といたしましては、基金繰入金、県債などを活用いたします。