第15回伊豆文学賞 開催結果
文学のふるさと伊豆・東部をはじめ静岡県内を題材とする文学作品を公募した第15回伊豆文学賞の入賞作品が次のとおり決定しました。
表彰式は3月11日(日曜)に、静岡市駿河区のグランシップで行います。表彰式の後、「伊豆文学塾」を併せて行います。内容は、伊豆文学賞の審査員を務める作家(三木 卓 さん、村松 友視 さん、嵐山 光三郎 さん、太田 治子 さん)による座談会です。
(表彰式・伊豆文学塾の案内は次のリンクをご覧ください)
なお入賞作品を収録した『第15回伊豆文学賞優秀作品集』を3月中旬に出版予定です。
1 審査結果
入賞作品のあらすじは「8 入賞作品のあらすじ」のリンクをご覧ください。
(1)小説・随筆・紀行文部門
賞 | 作品名 | 部門 | 氏名 | 居住地 |
---|---|---|---|---|
最優秀賞 | 敬太(けいた)とかわうそ | 小説 | 植松(うえまつ) 邦文(くにふみ) | 富士宮市 |
優秀賞 | 花(はな)の棲家(すみか) | 小説 | 阪野(さかの) 陽花(はるか) | 浜松市中区 |
佳作 | YAMABUKI | 小説 | 白鳥(しらとり) 和也(かずや) | 静岡市清水区 |
佳作 | 伊豆堀越御所異聞(いずほりごえごしょいぶん) | 小説 | 木夏真一郎(きなつしんいちろう) (本名:榎本(えのもと)真一(しんいち)) |
横浜市 |
(2)メッセージ部門
賞 | 作品名(部門) | 氏名 | 居住地 |
---|---|---|---|
最優秀賞 | 新幹線の車窓から | 藤巻(ふじまき) 元彦(もとひこ) | 富士市 |
優秀賞 | 遠い裾野 | 宮司(みやじ) 孝男(たかお) | 湖西市 |
優秀賞 | 懐かしい町 伊東 | 服部(はっとり) 静子(しずこ) | 三島市 |
優秀賞 | 連れあって札所めぐり | 中川(なかがわ) 洋子(ようこ) | 下田市 |
優秀賞 | 惚れてしまった沼津さんへ | 古川(ふるかわ) 紀(とし) | 沼津市 |
優秀賞 | 湖西連峰の山寺跡 | 増田(ますだ) 瑞穂(みずほ) | 湖西市 |
メッセージ特別賞 個人
賞 | 作品名(部門) | 氏名 | 居住地 |
---|---|---|---|
学校奨励賞 | 弓ヶ浜での思い出 | 若林(わかばやし) 優稀(ゆうき) | 伊豆の国市 |
メッセージ特別賞 団体
特別賞 | 学校名 | 内容 |
---|---|---|
学校奨励賞 |
|
応募多数 |
2 最優秀賞受賞者のコメント
(1)小説・随筆・紀行文部門
受賞の知らせを聞いて
すごく嬉しいです。題材範囲が伊豆半島から静岡全体に広げられたことを知って、初めて応募した作品が一等賞になって大変喜んでいます。
伊豆文学賞応募の動機や伊豆とのかかわり
題材が伊豆から静岡県に拡大されたことを今年知った。富士山南麓に生育した記憶を下地にして一つ作品をと思い、今回応募した。太平洋戦争後、富士山麓で子供たちがどう育ったかを、語部のつもりで書いた。
作品にこめた思い
昭和の子供が遊んだ疏水の変貌は、その岸辺に立つと今浦島の感がある。豊かな自然、湧水のことを徒にノスタルジックに回顧するつもりではない。優れた文明への道として人間が選択した方向は正しかったのか、問い返す必要があるだろう。そんな思いをこめた。
(2)メッセージ部門
受賞の知らせを聞いて
うれしいです。ふるさと静岡県のよさを一人でも多くの人に知ってもらいたい思いでこの作品を書きました。今まで書き続けてきてよかったです。
伊豆文学賞応募の動機や伊豆とのかかわり
静岡県富士市で生れ、富士山を見ながら育ちました。仕事の関係で一時静岡を離れたこともありましたが、生活や仕事の忙しさの中でふっと思い出し、心に安らぎを与えてくれたのは富士山や故郷の美しい風景でした。その故郷静岡の良さを皆さんに知ってほしいと思い応募しました。
作品にこめた思い
新幹線の車窓から見える風景を題材にしました。そこには「こだま」だからこそ味わえる美しい風景があります。静岡の良さを再発見してもらい、是非、静岡に遊びに来てくださいという気持ちを込めて書きました。
3 最優秀賞作品についての審査員コメント
(1)小説部門
「敬太とかわうそ」は、富士山の見える土地柄の人が、震災に喚起されたように、自分が吸っている空気、知り合っている人々などを作者の年齢によって振り返り、生命に思いを致し、小さい頃の体験や感慨を帯のように編んでいる。貴重な記録であり、記憶の断片を歳時記として淡々と綴って、静かな感動を与える作品。ありのままのことを克明に書くことで、今の時代を考えさせる問題提起にもなっている。
(2)メッセージ部門
「新幹線の車窓から」は、あえて新幹線というキーワードを使って、その中で一番多くの駅に停まる「こだま」からの眺めが最高だという切り口が面白い。静岡をメッセージにするひとつの切り口を教えてくれた作品である。作者は自分の暮らしに好きな場所と好きな時間を持っていて、読者に自分も同じ景色を見てみようという気にさせてくれる。
4 審査員
(1)小説・随筆・紀行文部門
三木 卓(第69回芥川賞受賞、日本芸術院会員)
村松 友視(第87回直木賞受賞)
嵐山 光三郎(第58回読売文学賞受賞)
太田 治子(第1回坪田譲治文学賞受賞)
(2)メッセージ部門
村松 友視(第87回直木賞受賞)
清水 眞砂子(翻訳者・児童文学評論家)
中村 直美(株式会社交通新聞社第1出版事業部編集部長)
5 賞
(1)小説・随筆・紀行文部門
- 最優秀賞 賞金 100万円
- 優秀賞 賞金 20万円
- 佳作 賞金 5万円
(2)メッセージ部門
- 最優秀賞 賞金 5万円
- 優秀賞 賞金 1万円
6 募集結果
(1)応募総数
479編(前回388編)
(小説171編、随筆37編、紀行文14編、メッセージ257編)
(2)年代別応募数
年代 | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代 | 80代 | 不詳 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
小説等 |
3 |
11 |
18 |
24 |
48 |
69 |
40 |
6 |
3 |
メッセージ |
213 |
1 |
3 |
5 |
8 |
12 |
14 |
1 |
0 |
計 |
216 |
12 |
21 |
29 |
56 |
81 |
54 |
7 |
3 |
(3)居住地別応募数
居住地 | 静岡県 | 愛知県 | 東京都 | 神奈川県 | 埼玉県 | その他 | 海外 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
小説等 |
90 |
10 |
33 |
27 |
14 |
46 |
2 |
メッセージ |
239 |
0 |
4 |
6 |
3 |
5 |
0 |
計 |
329 |
10 |
37 |
33 |
17 |
51 |
2 |
7 第15回の特徴
- 静岡県在住者からの応募は全体の68.7%(前回62.6%)を占めた。
- 県外応募者が増加、とくに愛知県、関西府県からの応募が増加した。
- 海外在住者から2件の応募があった。
8 入賞作品のあらすじ
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