リニア中央新幹線静岡工区
県民の皆さまからの質問にお答えします
最近のJR東海との対話の状況を教えてください。
県は、JR東海との対話項目を明確にするため令和6年2月5日に3分野9区分に整理した「今後の主な対話項目」に基づき生物多様性専門部会を4月12日に、地質構造・水資源専門部会を5月13日に開催し、JR東海と対話を行いました。 生物多様性専門部会では、専門部会が提案した手法により水生生物等(生態系)への影響の予測・評価を行うことなどが合意されました。また、地質構造・水資源専門部会では、JR東海が提示したボーリング計画は科学的・工学的観点からリスク管理がなされるものとして了解され、それぞれ対話に進展がありました。
▲専門部会の様子
第12回生物多様性専門部会の概要
令和6年4月12日(金)15:00~17:00
本日の検討内容
【国有識者会議報告書において沢の流量変化は予測されたが、それに伴う水生生物等への影響の予測・評価は行われていない】
◇予測・評価の対象 ◇予測・評価の方法 ◇必要なデータ ◇必要な時間
【対話項目】
- 1(1) 適切に順応的管理を行うための事前の生物への影響の予測・評価(保全措置、管理基準等)
- 1(2) 沢の上流域の水生生物等の生息状況の調査や、その結果を踏まえた重要種の確定と指標種の選定
- 2(5) モニタリング(トンネル湧水・沢の流量)の具体的な手法(沢の物理的環境に応じた生息・生育地のセグメント設定等)
【国有識者会議報告書において「順応的管理」により影響を最小化する方向性は示されたが、具体的な手順や方法は示されていない】
【対話項目】
- 2(5) モニタリング(トンネル湧水・沢の流量)の具体的な手法(沢の物理的環境に応じた生息・生育地のセグメント設定等)
- 2(6) 突発的な事態への対策(リスク管理)
【対話項目】
- 3(1) 薬液注入による自然環境への影響の把握方法、具体的なリスク管理
【国有識者会議報告書で示されたモニタリング計画が、順応的管理を実施する上で的確なものか確認できていない】
【対話項目】
- 1(3) 必要な調査(季節毎の生物の生息・生育状況の把握など)の工事着手前の実施
- 1(4)「流量減少の傾向がみられる沢」の重点的なモニタリング
(1) 水生生物等(生態系)への影響の予測・評価
①どのように予測・評価するべきか。
※竹門委員からの提案
- 名称
- 景観に基づく生息場評価法
- 予測・評価の対象
-
・沢の生息場(滝、淵等)・環境条件(水深、流速等)、生物群集(底生生物、魚類)
※生息場評価法では、生息ポテンシャルを予測することしかできないので、 ヤマトイワナ、両生類や植物の指標種・希少種についてはモニタリングで変化を把握。
- 予測・評価の方法
-
- 現状の生息場・環境条件と生物群集の対応関係を整理し、生息場類型に対応する指標種群をまとめる。
- 生息場の変化に応じた生物群集の変化を予測・評価する。
※P8~13参照
※現在あるデータでは、定性的な予測となる。
- 必要なデータ
-
・環境影響評価やその後の調査データで予測可能。
※ただし、上流域や湧水箇所の生物群集については、今後行う工事前調査や上流域調査等で得られるデータの追加が必要。
- 必要な時間
- ・現在のデータで予測するのであれば、2~3ヶ月程度で可能。
生息場評価法の説明 イメージ(1/4)
生息場評価法の説明 イメージ(2/4)
- 航空写真等から、沢全体の「生息場・環境条件」を把握し、沢全体の「生物群集」を推定。
- 推定は、流量の多少により、豊水期・平水期・低水期・渇水期の4区分を考慮
生息場評価法の説明 イメージ(3/4)
生息場評価法の説明 イメージ(4/4)
- GETFLOWSの結果等を基に、沢の「生息場・環境条件」の変化を予測し、「生物群集」の変化を予測。
国有識者会議 国報告書・JR東海資料の補足説明
- まずは流量などの変化する可能性のある物理的環境に関してトンネル掘削前の状況を年変動も含めて把握するとともに、物理的環境の影響を受けやすいと考えられる生物群の検討を行い、それらに基づいたモニタリングを行うことによって、迅速な保全措置の実施及びそのエリアの生態系全体に与える影響の最小化を目指すこととする。
- 県専門部会からの提案(景観に基づく生息場評価法)は、国有識者会議の報告書に沿ったものとなっている。
※JR東海資料P3-127表3.21、P3-129表3.24
≪沢の生息場・環境条件の例≫
生息場型:滝、早瀬、平瀬、淵、ワンド、たまり、河床間隙水域、湧水など
微生息場型:岩盤、巨石、石礫、砂、シルト、泥、落葉落枝、抽水植物、沈水根、水際など
生息場の環境条件:動水勾配、河岸勾配、水深、流速、水温、水質、土壌水分、有機物含量など
③GETFLOWSの結果等を基に、沢の「生息場・環境条件」の変化を予測し、「生物群集」の変化を予測。
沢の上流域調査(水生生物等)
- 沢の上流域で調査が困難な箇所は、生息場・環境条件が類似する箇所の生物群集のデータを用いて、生物群集を推定
- JR東海は、調査の安全を確保できないとして、上流域での調査を実施していない。
- 令和5年12月に、JR東海から、「県から、沢の上流域へのアプローチに関する情報提供を頂きたい。アプローチに関する情報を踏まえ、調査の安全を確保できる範囲で、調査を実施する」旨の連絡あり。
- 現在、県が、山岳関係者等にアプローチに関する聞取り調査を実施中。複数箇所のアプローチに関する情報を提供できる見込み。※別紙で現時点の情報を提供
- 評価法で予測評価するだけではなく、実際にどの様な変化が起こるのかを実証的に調査する必要がある。
- 沢の上流域調査がされないと、影響が出た場合に、人知れず大事なものを失うということを認識してほしい。
- 景観に基づく生息場評価法(以下、「評価法」)により、現在あるデータで予測・評価を実施する。沢の上流域調査等の結果が追加されれば、予測・評価を更新する。
- 沢の上流域調査は、県から提示した大井川上流域マップを基に、今後、安全に調査が可能な箇所について、JR東海と県で詳細を詰めていく。
2 水生生物等への影響の回避・低減措置と順応的管理
⇒JR東海は、速やかに、順応的管理の具体的な手順や方法を専門部会に提示いただきたい。
【トンネル掘削に係る順応的管理】
- 薬液注入の量、薬剤等
- 回避・低減措置の見直し
- 各種判断基準 ほか
- モニタリング計画の見直し
- 回避・低減措置、代償措置の見直し
- 各種判断基準 ほか
出典:リニア中央新幹線静岡工区に関する報告書(令和5年報告)~環境保全に関する検討~
(令和5年12月 リニア中央新幹線静岡工区有識者会議)
⇒JR東海は、まずは薬液注入による回避・低減から検討を始める。
⇒JR東海は、複数の薬液注入、薬液注入以外の事例を収集整理し、専門部会に提示いただきたい。※現在、薬液注入以外には、斜坑の線形の変更があげられている。
【主な意見】
- 順応的管理は、起きる可能性がある影響をリストアップし、事前にその影響への対応のシナリオを詳細に決めておく必要がある。そのシナリオは、事前に専門部会で確認すべき。
- 沢の流量・生物群集への影響は、長期間にわたるため、順応的管理をする上で、代償措置を抜きに検討することはできない。
- 方向性を決める際は、専門部会だけでなく、地元意見を聞くべきである。
- モニタリング結果をどのように回避・低減措置等に反映させ、順応的管理を進めていくのか、JR東海が、速やかに、順応的管理の具体的な手順や方法を、専門部会に提示し、施工開始前に合意を得る。
- 回避・低減措置については、薬液注入以外の工法もあるが、まずは薬液注入から検討を始める。また、薬液注入も複数の方法があるので、薬液注入の事例、薬液注入以外の工法の事例を集め専門部会に提示する。
- 方向性を決める際は、専門部会だけでなく、地元意見を聞くべきである。
3 モニタリング計画
重点的な沢:
沢の類型化の結果、重要種の生息・生育状況、上流域モデル解析結果から得られた知見に基づき抽出
その他の沢:
「重点的な沢」以外の沢
①「水生生物等への影響の予測・評価」に係るモニタリング計画は、順応的管理を効果的に実施する上で的確なものになっているか。
【重点的なモニタリング】
- 県は流量減少が予測される「その他の沢」(区分ウ)について、「重点的にモニタリングを実施する沢」(区分ア)と同じモニタリングを求めてきたが、「景観に基づく生息場評価法による予測・評価」や「沢の上流域調査」が実施されるのであれば、区分ウの沢に重要種が確認された場合等において、区分アと同じモニタリングを実施いただきたい。
※現在、景観に基づく生息場評価法による生物群集の推定や、沢の上流域の調査がされておらず、区分ウの沢に重要種が存在する可能性があるため。
-
重点的にモニタリング実施する沢のうち、「流量減少が予測されない沢」(区分イ)についても、今後の流量予測の変化等に応じて、「流量減少が予測される沢」(区分ア)と同じ「モニタリング」・「環境保全措置の検討」を実施いただきたい。
※流量の予測には不確実性があり、重要種の生息状況等から選定された重点的な沢では、実際に流量減少が生じた場合、重要種の生息に影響する懸念があるため。
- 景観に基づく生息場評価法に必要となるモニタリング項目(※)を、工事着手前段階で実施いただきたい。
※現地踏査等が想定されるが、今後、県・JR東海・委員で協議
- モニタリング項目間の関係性を整理 いただきたい。(工事による影響の予測・評価及び環境保全措置に反映するため)
- 今後、水生生物等に関して新たな情報が把握された場合や代償措置の具体的議論をする場合等においては、 必要と認められるモニタリング項目を追加 いただきたい。
- 今後の調査により重要種が確認された場合や流量予測の変化等に応じて、モニタリング項目や環境保全措置の検討を追加する。また、代償措置の具体的議論をする場合等においては、必要と認められるモニタリング項目を追加する。
- 評価法の実施に必要となるモニタリング項目を、工事着手前段階で追加で実施する。詳細は、今後、県・JR東海・専門部会委員で協議する。
- モニタリング結果について、項目間の関係性を整理する。
第16回地質構造・水資源専門部会の概要
令和6年5月13日(月)17:00~18:20
I 水資源編(今後の主な対話項目)
2(4) 山梨県内のトンネル工事による影響への懸念
(1) これまでのボーリング及び先進坑掘削の結果の考察
- JR東海が今後実施する調査によって得られる結果についても、しっかりと分析・考察を行った上で、その結果を分かりやすく説明していただきたい。
- 必要に応じ、リスク評価の検証と見直しを行い、今後の計画に反映していただくことを専門部会としてお願いする。
- 専門部会として、JR東海が計画している高速長尺先進ボーリングは、提示された湧水管理やモニタリングが確実に行われることで、一定のリスク管理がなされるものと、技術的観点から確認ができた。
- 今回決まったことが、確実に実行されることが重要。JR東海は、しっかりと実行できるよう、現場で作業される方も含め徹底をお願いする。
令和6年6月1日現在の情報です。
詳細は、「リニア中央新幹線建設工事に伴う環境への影響に関する対応」へ
→リニア中央新幹線整備工事に伴う環境への影響に関する対応
WEB県民だよりでは、リニア中央新幹線整備に関する県の対応などを連載でお伝えします。
問い合わせ/県環境局 TEL/054(221)2421 FAX/054(221)2940
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