県民だより2022年11月号 海外からの“旬な”お便り
静岡県では、お互いに助け合い、信頼関係を築き、国際的に存在感のある地域を目指す「地域外交」に取り組み、観光、経済、教育・文化など幅広い分野で交流を進めています。
海外駐在員や本県と交流のある国・地域の方からの旬な現地情報を、毎月お届けします。
コロナ禍で海外に行く機会が減った今、”旬な”お便りで世界に触れてみてください!
差出人 浅原 敏治(あさはら としはる)さん
県中国駐在員事務所長 上海市在住(2年2カ月)/島田市出身
今年で静岡県と浙江省が友好提携を締結して40年の節目の年となりました。今回は、昨年訪問した浙江省杭州市にある有名観光地の「龍井(ロンジン)村」を紹介します。
浙江省で出会う静岡県と似た景色 茶畑が広がる龍井村
龍井村を杭州市在住の金国慶(きんこっけい)さんに案内していただきました。金国慶さんは、平成10年6月から平成11年3月まで研修生として静岡県に来られていた方で、現在は、浙江省政府職員として同省の友好提携先である静岡県と福井県との交流促進を図る仕事をされています。私と年齢も1歳違いで公私においてお世話になっています。
最初に、「龍井問茶」という石碑を案内してもらいました。ここは、獅峰(しほう)山の麓でかつて、清朝第6代皇帝の乾隆帝(けんりゅうてい)がこの地を訪れた際に、ここの茶を大変気に入ったそうです。訪問中、皇太后が病に伏し、すぐに都に帰ることになりましたが、乾隆帝が持ち帰った龍井の茶を皇太后に飲ませたところ、皇太后の体調が回復したそうです。そこで乾隆帝は、この龍井村の18本の茶樹から摘んだ茶を献上茶として納めさせたことから、龍井茶は中国国内で非常に有名になりました。この18本の茶樹「十八棵御茶」は石碑の上に現存しています。
この地で取れる「獅峰龍井」という茶は、龍井茶の中でも最高級品とのことです。
次にこの十八棵御茶の上にある直径4メートルほどの泉を案内してもらいました。この泉は龍井村の茶園の水源となっていて、水の少ない年にも水枯れがなく、人々はこの泉に龍が住んでいると信じ、「龍井泉」と呼ぶようになりました。「老龍井」とも呼ばれ、龍井村の地名の由来となっています。
次に龍井泉の近くにある「龍井居」という建物を案内してもらいました。建物内には、乾隆帝の肖像画と龍井茶についての説明とともに、この地を訪問した歴代の中国の要人の写真が展示されていました。
近くに龍井茶を取り扱っている店があると聞き、訪問しました。茶農家が直営する店で、観光客がお茶を試飲することができ、購入もできるとのことです。龍井村にはこのような茶農家直営店が何店かあるそうです。静岡県にも茶農家が観光客にお茶を提供する縁側カフェがあり、その雰囲気とよく似ています。
龍井茶は、茶こしを使わず、茶葉にそのまま湯を入れて飲みます。ほんのり甘い味がして美味しかったです。
ここで、龍井茶を使った杭州の料理を紹介します。「龍井虾仁(ロンジンシャーレン)」といい、茶葉と一緒に小エビを炒めた料理です。中華料理は、辛い味付けが多いと思う方もいるかもしれませんが、この料理は、あっさりとして食べやすく、美味しかったです。
最後に、茶園が見渡せる丘陵地を案内してもらいました。山の斜面一面が茶畑で緑に覆われた場所。普段生活している上海市では見ることができない光景でした。静岡県ではよく目にする光景で、懐かしく感じました。
龍井茶のルーツを知り、飲んで、食べて楽しむ龍井村の旅でした。中国に旅行できるようになった際には、静岡県の皆さまにとって身近に感じられるお茶の生産地であり、観光地でもある浙江省杭州市の龍井村をぜひ訪れてみてください。
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