臓器移植に関するトピックス
「脳死」と「植物状態」はどう違うのでしょう…
脳死は、呼吸や血圧を調節する脳幹を含む脳全体の機能が失われた状態です。
いずれ必ず心臓も停止し、脳は融解し、元に戻ることとはありません。
植物状態は自発呼吸ができ、回復の可能性も残されており、脳死とは根本的に異なります。
区分 | 脳死 | 植物状態 |
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脳の障害の状態 | すべての脳機能が不可逆的に停止 | 脳幹の機能が一部残存 |
病態、意識の有無 | 意識はまったく無い | 高度な意識障害(刺激に反応する場合もある) |
自発呼吸の有無 | 自発呼吸無し(人工呼吸器が必要) | 多くは自発呼吸あり |
経過回復の可能性 | なし | まれに回復する場合もある |
その後 | 通常1週間程度で心停止に至る | 何年も生存することがある |
脳死の判定はどういう検査で行われるのでしょうか…
脳死判定項目 | 具体的検査方法 | 脳内の検査部位と結果 |
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1.深い昏睡 | 顔面への刺激(ピンで刺激を与えるか、眉毛の下あたりを強く押す) | 脳幹:意識が無く、痛みに対して反応しない 大脳:意識が無く、痛みを感じない |
2.瞳孔の拡大と固定 | 瞳孔に光をあてて観察 | 脳幹:瞳孔が直径4mm以上で、外からの刺激に変化がない |
3.脳幹反射の消失 |
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4.平坦な脳波 | 脳波の検出 | 大脳:機能を電気的に示す脳波が検出されない |
5.自発呼吸の停止 | 無呼吸テスト(人工呼吸器を外して一定期間経過観察) | 脳幹(呼吸中枢):自発呼吸できない |
6.6時間以上経過後同じ一連の検査 | 1~5の検査(2回目) | 状態が変化せず、不可逆的(二度と元に戻らない状態)であることの確認 |
これらの項目の判定は、公正さを保証するため、必要な知識、経験を持ち、移植とは無関係な2人以上の医師によって行われます。6歳未満の小児や、低体温、急性薬物中毒、代謝・内分泌性疾患などの場合は、判定の対象から除外されます。臓器移植法では、脳死下での臓器提供を行う人に限り、脳死を人の死として認める形となっており、これ以外は、従来の3兆候(心臓停止、呼吸停止、瞳孔散大・対光反射の消失)をもって死とします。
意思表示から臓器提供まではどういう流れで行われるのでしょうか…
- 移植コーディネーターによる説明
ご本人の臓器提供を希望する意思表示があるか、ご本人の意思が不明な場合に、ご家族が臓器提供について説明を聴くことを希望するときには、主治医などからの連絡を受けて移植コーディネーターが病院を訪れ、説明を行います。 - 家族の意思決定
説明を聞きたくないと思われた時は、いつでも断ることができます。移植コーディネーターから説明を受けた後、十分に話し合いをして臓器を提供するかどうかをご家族の総意として決めます。 - 脳死判定(脳死後の提供時のみ)
臓器提供が決まれば、脳死判定が行われます。脳死判定は法に基づいた厳格な方法です。2回目の脳死判定が終了した時刻が死亡時刻となります。家族が希望すれば脳死判定に立ち会うこともできます。 - 移植を受ける患者の選択
移植を希望する人は公益社団法人日本臓器移植ネットワークに登録されています。提供される臓器が最も適した患者(レシピエント)に移植されるように医学的な基準に従って公平に選ばれます。 - 臓器の摘出と搬送
レシピエントが選ばれると、提供する臓器の摘出手術が行われます。摘出された臓器は、移植手術を行う施設に迅速に運ばれて移植を待つ患者さんに移植されます。
臓器は、脳死後と心停止後で提供できる、できないに差があります…
臓器別 | 脳死後に提供できる | 心停止後に提供できる |
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心臓 | 可 | 不可 |
肺 | 可 | 不可 |
肝臓 | 可 | 不可 |
腎臓 | 可 | 可 |
膵臓 | 可 | 可 |
小腸 | 可 | 不可 |
眼球(角膜) | 可 | 可 |
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